9月の徳目「報恩感謝」

 蒸し暑い夏でした。途中、梅雨のような雨も続いた少し変な夏でもありました。この間、社会では、いろいろな交通事故や水の事故、特に埼玉の保育園でのプール事故なども起こりました。我々生き残った者たちは、そこから教訓を汲みあげなければならないでしょう。
 今月の徳目は「報恩感謝」。社会や自然の恩に感謝しよう、という意味です。人は一人では生きていけません。色々な要素が自分の身に働いてくれていて、生存しているのです。
 おかげさまで、当園では、子どもたちがまた集まってきて、楽しそうに遊んでいます。
 乳児たちは、はいはいしていた子が走り、喃語なんごだった子がしゃべるようになっています。幼児たちは、盆踊りのふりも、様になってきました。親子で楽しむ運動会も近づいています。
 今月、敬老のつどいでは、お客さんがたがこのお年まで生きてこられた有難さを示してくださることでしょう。また、お彼岸は、ご先祖に我々が存在していることを感謝する日です。
 人はみな、母親の一つの細胞と父親の一つの細胞が合体して、その後、細胞分裂して、今、成り立っています。つまり、我々の体というのは、先祖から受け継いできたものなのです。
 保護者の皆さん、この夏も、仕事に子育てにご苦労さまでした。「報恩感謝」の「報」は、左の「幸」が手かせを表し、右には「服従」の「服」と同じものがあります。そう、職業と子どもを持つことができた人に、労働と子育ては、選択の余地が無い、嬉しい悲鳴なのです。
 就職する前、懐妊する前の気持ちを思いだし、授かった現状に感謝して、また、この現状と取り組みながら、日々、過ごしていきましょう。

 (『園だより』H29=2017年9 月号より)

7月の徳目「布施奉仕」・8月の徳目「自利利他」

 夏です。子どもたちお楽しみの水遊びの季節でもあります。この時季には、七夕の集い、夏のお楽しみ会、お盆お参り、平和の日のお参りなどもあります。
 保育園はスイミング・スクールではないので、水泳技術的なことはあまり教えませんが、身支度、ルール、後始末など、することは多いです。そして、こうした決まりごとをきちんと行なうと、自他ともに楽しい時間を過ごせるのだということが身をもって学べます。
 毎年、第二次大戦が終わった8月15日前後に「平和の日のお参り」を行なうのは、創業者 松岡義雄・きく夫妻以来の伝統です。戦争は、我々われわれ一人一人の心の中にあるがままや欲ばりが究極にまでふくれあがった時、起こるものです。常日ごろから「人のいやがることはやめよう」「人の物を取ってはいけない」という素朴な実践を積み重ねていきましょう。
 7月の徳目「布施奉仕」(すすんで、人のためになることをする)も、8月の徳目「自利利他」(本当に善いことは、自分のためにも他人のためにもなる)も、人々の永年の経験から生まれた智慧ちえと言えましょう。
 保護者の皆さん、日ごろのお仕事・子育てお疲れさまです。夏には、まとまった休みが取れますね。
 当園の近くのコーヒーの自販機に「お疲れ、おれたち」というフレーズが見えます。皆さんも、時にはご自分をねぎらってください。家族みんなで、行楽のルールを守って、ヒヤリハットやそれ以上のことなど起こすことなく、この時季を楽しもうではありませんか。

(『園だより』H29=2017年7・8 月号より)

6月の徳目「生命尊重」

 子どもたち、特に小さい子ほど、触れ合い遊びが大好きです。言葉を話せない赤ちゃんですが、肌が直接接するところから、自他の生命の存在を感じるのでしょう。
 親子、友だち、更には、動植物にいたるまで、いろいろな触れ合いを通すなかから、生命の不思議さ、素晴らしさ、おもしろさ、はかなさを子どもたちは学んでいきます。
 生命というのは、厳しいものでもあります。私たちは、他の動植物の生命をいただかなければ、みずからの生命をつなげない存在です。肉、野菜はもちろん、皮革、木製品、紙なども、もとをたどれば、みな私たち人間が取ってきた生命です。
 先月、降誕会ごうたんえ親鸞しんらんさまの誕生日)の紙芝居を見終わったあと、子どもたちからは、なぜその頃(源平げんぺいの争いの時代)は戦争が多かったのか、なぜ親鸞さまのお父さまはどこかに行ってしまったのかという感想が聞かれました。
 歴史や宗教の高度な知識を持つ彼らではありませんが、どこか、いやだ、可哀想かわいそうと思ったのです。そして、このいやだ、可哀想と思う気持ちこそが大切であり、この気持ちをしっかり守り、育てていけば、子どもたちは、やがて、人権を守り、平和を築ける人となるのです。
 親鸞さまの教えを継ぐ寺々の中から應善寺が生まれ、親鸞さまのお誕生からおよそ800年後、應善寺おうぜんじから和光保育園が誕生しました(1954年)。
 「生命尊重」は先代、先々代より引き継いだ当園の根っこです。皆さまのおかげで、今年も創立記念日を迎えることができました。今後もよろしくお願い申しあげます。

(『園だより』H29=2017年6月号より)

5月の徳目「自戒和合」

 「自戒和合」は、全員が快適な生活を送れるように、各自が自分を戒めようというスローガンです。痛ましい千葉県のベトナム人女児の事件を筆頭に、犯罪は、毎日、起こっていますが、それでも、「自戒和合」のような小さな努力の積み重ねが、被害者をも加害者をも減らすことにつながると信じています。
 その実践にあたっては、極端な「自戒」は、挫折しやすく、かえって目標達成が遠のきますが、ちょっとの辛抱、例えば、引っ込み思案な人なら、一歩踏み出し、出しゃばりな人なら踏み出すのを抑える、ということなら、実行可能でありましょう。
 子どもに「決まりを守れ」と言うのは我々大人のすることではありますが、それには、先ず、子どもにたっぷりの愛情と信頼と感動をそそぐことです。子どもは、他の子といっしょに何かをして、成し遂げた時、楽しさと嬉しさを味わい、人と助け合ってよかったと体験し、決まりの意義を実感するのではないでしょうか。
 5月には親鸞さまの誕生日「降誕会」があります。親鸞さまは、非現実的で極端な「戒」は否定しましたが、その生涯は、心身を壊さず、悪事をなさず、人のために尽くすものでした。本当の善悪を理解した、絶妙なバランス感覚の持ち主だったと言えましょう。
 1歳児でも、ブロックを耳に当てて電話するふりをするように、子どもは、実によく、大人の振る舞いを見ているものです。我々大人は、ちょっとの辛抱をして、よいことに努め、悪いことをしない「自戒」をして、子どもたちに見てもらおうではありませんか。

(『園だより』H29=2017年5 月号より)