「佛教保育ってなあに」という単純なところからお話をさせていただきます。

 佛教保育と一口に言っても少しわかりにくいと思います。一般的には、お寺が運営している保育園や幼稚園、こども園であること。一年の中に様々な佛教行事があるということが佛教保育の特色と捉えられていることが多いかと思います。和光保育園も今から70年前に應善寺の先代住職夫妻によって創立された「宗教法人 和光保育園」がスタートです。月に一度のお参りや様々な佛教行事も行っています。それらについて、これから少しずつお話をさせていただきます。

  • 第1回は、「佛教保育の背景」についてお話しします。

明治5年の「学制」以来、日本の近代教育は西欧やアメリカの教育手法に倣いながら現代に至っています。特に第二次世界大戦後日本は西洋の教育制度や技術を積極的に導入し、それを日本の状況に合わせて定着させてきました。しかし、実はその根底部分において一つ解決しなければならない問題が存在し続けました。それは「教育を支える精神的な基盤は何か?」ということです。教育制度や技術面での整備・充実・発展の裏で、それを用いて一体どのような人間を育てたいのかという理念や倫理観が戦後の日本において不明瞭であり続けたと言われています。

 そこで、日本の教育上の精神的空白を埋めるために一つの確かな文化として「佛教」が注目されたのです。戦後の経済発展の中で混迷を深めてきた日本人の心の問題を、佛教の教えによって導かんとする尊い挑戦であったともいえます。器だけが整った近代以降の日本の教育の最も重要な中身の部分に佛教という芯を立て、佛教精神に基づく全人的教育を目指したのです。(新佛教保育総論より引用)                           文責;園長 白井 千晴

應善寺正門から見た本堂

和光保育園側から見た應善寺