7月の徳目「布施奉仕」

 今月の徳目は「布施(ふせ)奉仕(ほうし)」(誰にでも親切にしよう)です。「布施」は、「布」も「施」もどちらも「ひろめ、ほどこす」という意味になります。一方「奉仕」は、日常生活において自己の利益を追求せずに、他者に対して思いやりや社会貢献の精神を具現化する行為として広く世間に認識されています。このことからも「奉仕」が人間社会において重要な要素であることがわかります。また「奉仕」は人が嫌がることも自ら率先して汗を流す、無償の勤労のこころでもあります。

「布施奉仕」のこころとは、見返りを求めたり期待したりする行動ではなく、周りの人に喜びを与える気持ちをもつことであるといえます。

幼児にとって、誰にでも親切にすることは非常に努力が必要です。それは、自己中心性が強い幼児にとって、自分の気持ちや欲求を正面から相手に投げかけるのが自然なのですから、相手の気持ちを考えられるようになることはその子にとってとても大きな成長につながると考えられます。相手のことを考えられるようになってくると次第に友達のために力を貸すような気持ちも育ち始めます。人に親切にされた時のうれしさや、人に親切にすることのうれしさに気付けるように大人としても子どもたちに関わっていくことが大事なのではないでしょうか。

7・8月はおうちで過ごすことも多くなり、お出かけすることも増えてくると思います。この時期に普段できない体験を通して「布施奉仕」の心が育つといいですね。(月刊佛教保育カリキュラム・佛教保育なるほど12ケ月 参照)                    文責;園長 白井 千晴

6月の徳目「生命尊重」

今月の徳目は「生命尊重」(生き物を大切にしよう)です。

自分の命の大切さはもとより、あらゆる生き物の命を大切にすること、さらに生き物以外のものにも命が宿ることを学ぶことで幼児の心の成長の基礎となります。

動植物に関心を持つ季節でもあり、探求心を大切にするとともに、生物へのいたわりの心を育てます。園でも、ミニトマト、ナス、キュウリやじゃがいもの栽培を行っています。市内の農園に行ってじゃがいも掘りも行います。園庭にはありやゾウリムシなども数多くいて子どもたちも毎日楽しく戯れています。

 そしてさらに大切なことが「食育」です。食事の前に手を合わせて「いただきます。」「ごちそうさまでした。」を言いますが、これは我々日本人だけが行っているあいさつです。

 「いただきます。」は、食事を作ってくださった方に「感謝」する意味とともに、食材に「あなたの命をいただきます。」という意味もあります。他の命をいただくことで人間は自分の体を維持し成長させているということにも気づかせていきます。

「ごちそうさまでした。」も食事を作ってくださった方、育ててくれた方、運んできてくれた方等食材に関わった多くの方への感謝の言葉です。ここでも仏教の教えの一つである「人は一人では生きていけない。」を学ぶことができます。

身近な当たり前のことの中から「生命尊重」を学んでいけるひと月にしていきます。

園庭でナスを育てています

創立記念の給食

創立記念のお話し

昨日の6月1日が和光保育園の創立記念日ですが、日曜日だったため、本日6月2日(月)に創立記念のお祝いをしました。

人形劇を見て、ごちそう給食を食べて、應善寺本堂でお参りをしました。昔の写真を見たり、クイズをしたりして創立当時の様子を知らせました。

(お参りで子どもたちに話した概略)

和光保育園は、今から71年前の1954年(昭和29年)應善寺の先代住職夫妻(私の祖父母)が創設しました。当時、国立には西の「春光保育園」中の「音大付属幼稚園」しかなく、東に住む人々は幼児を預かる施設を作ってほしいと應善寺の住職夫妻にお願いしていました。

開園当初、園児は3歳児以上3クラス44人で、給食はありませんでした。保育士はきく園長と3人の計4人でした。4月8日の灌仏会(かんぶつえ)の日からスタートしましたが、園舎がまだ完成していなくて應善寺本堂を仮園舎としたそうです。4月下旬に待望の園舎が完成し、園での生活が始まりました。そして、6月1日に東京都の認可が下り、正式に「和光保育園」がスタートしました。この、認可された日を創立記念の日と制定しました。

初代園長の松岡きくは、子どもたちに「心は広く あたたかく。身体は丈夫に。」と話しました。2代目園長の白井耀子は、こどもたちに「人は一人では生きられない。お蔭様、お互い様、ありがとうを大切に」と話されました。

和光保育園を作ったのは、應善寺住職夫妻で、その應善寺は「浄土真宗」のお寺としてできています。その浄土真宗は、「親鸞様」がおつくりになり、そのもととなった「仏教」はお釈迦様が作られています。こう考えると、今の私たちがあるのは、お釈迦様のおかげということになります。

和光保育園はこれからも、仏様の教えを大切に、保育を進めていきます。

園の歌にある「大好きな大好きな和光保育園♬」を目指していきます。

創立当時の園舎の様子

應善寺本堂でのお参りの様子

 

降誕会のお話し

 降誕会とは、浄土真宗の宗祖である親鸞聖人の誕生をお祝いする仏事です。親鸞聖人は、承安3(1173)年5月21日に京都でお生まれになっています。浄土真宗本願寺派では、毎年5月21日を親鸞聖人のお誕生日として、降誕会をおつとめします。

 京都の西本願寺では、法要のほかに祝賀能や飛雲閣での抹茶接待など華やかな催しが行われ、ご誕生を祝います。また、各地のお寺でも歌や踊りなどの出し物などをされる所もあり、聖人のご誕生を祝います。

 和光保育園では、年長さん・年中さんとお参りをし、「しんらんさまのおいたち」という紙芝居を子どもたちに紹介しました。少し内容が難しかったので子どもたちにわかりやすい言葉に変えてお話をしました。

 親鸞様が浄土真宗を開き、その教えに沿って應善寺ができ、その應善寺の先代住職夫妻が和光保育園を開きました。ですから、親鸞様がいなければ今いる園児たちとの出会いも今までの卒園児たちもいなかったことになります。このことは日ごろから子どもたちに話している「人は一人では生きていけない。」「おかげ様」「お互い様」「ありがとう」につながることです。

 今日のお参りのねらいである「親鸞様のおかげでこうして私たちが出会えたことに感謝する。」ということにも当てはまるのではないでしょうか。

「しんらんさまのおいたち」

お参りの様子

5月の徳目「持戒和合」

今月の徳目は「持戒和合」(きまりを守り、集団生活を楽しもう)です。

園生活を円滑に進めるためにはきまりや約束が必要になってきます。このことはたんに園生活だけでなく一般社会においても同じことでしょう。一定の決まりや約束に基づいて生活することによって、園生活や社会の秩序が保たれます。お釈迦様がインドにおいて法を説かれていた時代にも同様であったようです。次の5つの約束は当時の守るべき戒律を子ども向けに直したものです。

  • 生き物はかわいがろう。
  • 人の物は盗まないようにしよう
  • 友達とは仲よくしよう
  • うそを言わないようにしよう
  • 食べすぎに気をつけよう

園では、年少児やまだ園生活に慣れていない新入園児には、基本的な生活習慣や遊具の正しい遊び方などを教えています。集団の遊びの中に「きまり」があることを伝えています。

年中や年長児には、仲よく遊ぶために、交代や順番などの決まりを守る大切さを教えています。また、遊びには「ルール」がある方がみんなで楽しく遊べるということに気付けるようにしています。

4月の徳目「合掌聞法」

今月の徳目は「合掌聞法」(手を合わせて感謝し、お話をよく聞こう)です。

 「合掌」とは、両方の 手を合わせるという動作で、自分は争わないという姿を表しています。「聞法」とは、道理を知る、相手の話をよく聞くという意味です。

4月になり、新しいクラス、新しい友達、新しい先生との出会いがあります。その時に行う「あいさつ」は人と人とがかかわる最初の言葉です。佛教でのあいさつは手を合わせ「合掌」することであり、「おはようございます」「こんにちは」「ありがとうございます」「ごめんなさい」「よろしくお願いします」「さようなら」等すべてに合掌が伴います。「合掌」するということは、「この姿のままで、敵意はもっていません。」という心を表し、「聞法」は相手の人の意思をそのまま静かに聞くことになります。

この「合掌聞法」という気持ちはとても大切です。現代では、他人の話を聞かないで自己中心的にふるまうことが多くみられます。心のこもった挨拶をし、人の話もしっかり聞けるようにしたいものです。

新年度を迎え新たな気持ちでスタートする子どもたちにぜひこの「合掌聞法」の気持ちをつけさせたいものです。そのためにも我々大人が自ら「合掌聞法」の気持ちで接することが大切なのではないでしょうか。   文責;園長 白井千晴

お参りの年間計画について

令和7年度も、月に一度「お参り」を行います。年長さん・年中さんにホールにある仏壇の前で、佛教に関するお話をしたり紙芝居を読んだりします。各月のねらいは以下の通りです。

今年度もこの「佛教保育のお話し」の中で紹介して行きたいと思います。

こちらをクリックしてください。

     ↓

2025R7年度お参り年間計画表

「花まつり」おまいり

4月8日は、「花まつりおまいり」でした。4月に新しく年長すみれ組になった17人と年中さくら組14人に、お釈迦様「おたんじょう」の紙芝居をしました。

このお参りのねらいは次の通りです。

  • お釈迦様というえらい方がいらしたことを話し、その生誕を祝う。
  • 花祭りの行事を通して、お釈迦様に親しみをもつようにする。
  • お釈迦様の教えを生かして、基本的な生活習慣を身につけ、強い心、我慢する心を培う。
  • 行事に参加する喜びを味わい、集団生活(仲間づくり)の喜びを感じ取る。

4月8日は、佛教をひらいたお釈迦様の誕生日です。お釈迦様は、インドの国のルンビニーという花園でお生まれになりました。誕生されたお釈迦様はすぐに7歩歩いて右手を挙げて天を指し左手は地を指して、「天上天下唯我独尊(てんじょうてんげゆいがどくそん)」と称えられたと伝えられたといわれています。それは、「われはこの世で立派な人になって世界中の人々を救わん。」「人は生まれながらにして何ものにも代えられない独自の尊厳性をもっているものである。」「人は生まれながらにして尊し。」と、お互いの人間性の尊重を教えられているのです。

お釈迦様が生まれた時に、天から甘い雨が降り注がれお釈迦様の体を浄めたということから、ルンビニーの花園を模った「花御堂」をこしらえ、天と地を指しておられる誕生仏をまつり、甘茶をかけて祝福する習わしが始まったといわれています。

「花まつり」は、仏様としてのお釈迦様のご誕生をお祝いするとともに、私たちが人間として生まれてきたことの意味を、お釈迦様の教えによって明らかにしたいという心をもつ日でもあります。(仏教保育なるほど12ケ月参照)           文責;園長 白井 千晴

おまいりの様子

紙芝居「おたんじょう」

3月のお参り「春のお彼岸」

本日のお参りは「春のお彼岸」についてでした。すみれ組さんにとっては保育園での最後のお参りになります。お彼岸の話をして、その後、絵本「つながっている いのちのまつり」を読みました。

~お彼岸の話~

お彼岸は年に2回あります。春のお彼岸と秋のお彼岸です。どちらも昼と夜の長さが同じになる日(春分の日・秋分の日)を中日とした前後3日ずつの7日間です。

「暑さ寒さも彼岸まで」という昔のことわざがあるようにこの日を境に季節が代わります。春分の日と秋分の日には、太陽が真東から昇って真西へ沈みます。仏教の世界では「ご先祖様のいる彼岸(ひがん)は西に、私たちがいる此(し)岸(がん)は東にある」とされているため、彼岸と此岸が最接近する春分の日と秋分の日は、ご先祖様へもっとも思いを伝えやすいと考えられているのです。

 お彼岸の中日は先祖を偲ぶ日、残りの6日間は「修行」のための日と言われています。仏教で定められた6つの修行「親切」「言行一致」「忍耐」「努力」「反省」「修養」を1日一つずつおこなうものとされています。だからお彼岸は7日間あるのです。

お彼岸は、時代を超えて受け継がれてきた日本の風習です。春と秋の年に2回、ご先祖様を偲び、思いを深めてみませんか。                                              文責;園長 白井 千晴

お参りの様子

絵本「いのちのまつり つながっている」

3月の徳目「智慧希望」

 今月の徳目は「智慧希望」(賢さをもって、希望に満ちた未来を開こう)です。

 学年末を迎え、園児も保育士も何かと慌ただしい毎日が展開されているところです。また、来月の進級や入学という新しい環境に対しての期待や不安も感じる時期でもあります。それぞれの一年の成長を喜び、これからの未来に夢や希望をもち、楽しい学年末になるようにしていきます。

 園では、遊びを中心とした保育が展開されますが、小学校から先は知識を中心とした教科学習が展開されていきます。

「知識」は自分の外側にあるものを学習して積み上げていくものなので、学べば学ぶほど積み重ねられていきます。しかし、知識だけ豊かになるだけでよいのでしょうか。知識だけ豊かになっても人間性を向上させることはできません。「知識」に加えて「智慧」を磨くことも大切です。「智慧」は自分の外側にあるものを学んで自分のものにするのではなく、自分が中心であり、自分を磨くことで身についていくものです。

卒園する子どもたちが、「知識」と「智慧」の両方を磨いて立派な大人に成長することを願っています。 (仏教保育なるほど12ケ月 一部参照)

           文責;園長 白井 千晴

卒園式会場の様子