• 今回は、「佛教保育がめざすもの」についてお話しします。佛教保育が目指すものは次の4つと言われています。
  • 「智慧と慈悲」「絶対平等」「因縁生起と諸行無常」「保育は(過程)が大切」
  • ⑴「智慧と慈悲」について;佛教は「智慧と慈悲の教え」と言われています。「智慧」(プラジュニャー)とは、物事を深く見通す力のことで、何事も短絡的に考えずによく考えるということです。冷静によく考えることで物事の道筋が見えるようになり、今何をすべきか、逆に何をしてはいけないかなどが見えるようになると言われています。「慈悲」は、「慈」(マイトリー=友情・友愛)と「悲」(カルナ―=同情・憐れみ)が合わさった言葉で、慈しみの心で物事を見つめ、悲しみを共有するということだと言われています。
  • ⑵「絶対平等」について;佛教には「一切衆生 悉有仏性」という言葉があります。これは、「涅槃経」というお経の中に出てくる言葉で、この世の生きとし生けるものすべての中に等しく仏の種が宿っているという考えです。つまり、子どもだけでなく、保護者や保育者の中にも仏の種が宿っていて、全ての人が等しく「仏の子」であるということです。これを言い換えれば、絶対平等の価値観に立つことと理解できるのではないでしょうか。大人が子どもに教えるという上下関係や一方通行の価値観ではなく、横並び・並列の価値観だと言えます。大人と子どもが一人の人間として対等に出会い、互いを尊敬し信頼し合う中で大人は先輩として自分自身の生き方を子どもに示し、子どもはそれを見て学びながら成長し、大人もその姿を見ることで己を振り返り互いが学び合って自己を完成させていくということであるといえます。このような絶対平等の価値観が佛教保育の神髄だと言われています。(新佛教保育総論より引用)

長くなりましたので、今回はここまでにします。「因縁生起と諸行無常」「保育は過程が大切」については次回にお話しします。

園の辛夷の木で作られた仏様

新わかりやすい「仏教保育総論」