「自戒和合」は、全員が快適な生活を送れるように、各自が自分を戒めようというスローガンです。痛ましい千葉県のベトナム人女児の事件を筆頭に、犯罪は、毎日、起こっていますが、それでも、「自戒和合」のような小さな努力の積み重ねが、被害者をも加害者をも減らすことにつながると信じています。
 その実践にあたっては、極端な「自戒」は、挫折しやすく、かえって目標達成が遠のきますが、ちょっとの辛抱、例えば、引っ込み思案な人なら、一歩踏み出し、出しゃばりな人なら踏み出すのを抑える、ということなら、実行可能でありましょう。
 子どもに「決まりを守れ」と言うのは我々大人のすることではありますが、それには、先ず、子どもにたっぷりの愛情と信頼と感動をそそぐことです。子どもは、他の子といっしょに何かをして、成し遂げた時、楽しさと嬉しさを味わい、人と助け合ってよかったと体験し、決まりの意義を実感するのではないでしょうか。
 5月には親鸞さまの誕生日「降誕会」があります。親鸞さまは、非現実的で極端な「戒」は否定しましたが、その生涯は、心身を壊さず、悪事をなさず、人のために尽くすものでした。本当の善悪を理解した、絶妙なバランス感覚の持ち主だったと言えましょう。
 1歳児でも、ブロックを耳に当てて電話するふりをするように、子どもは、実によく、大人の振る舞いを見ているものです。我々大人は、ちょっとの辛抱をして、よいことに努め、悪いことをしない「自戒」をして、子どもたちに見てもらおうではありませんか。

(『園だより』H29=2017年5 月号より)

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