今からおよそ2500年前の12月8日、お釋迦さまはお悟りを開いて佛陀となられ、ここに佛教の歴史が始まりました。この日を「成道会」と言います。
そのお悟りの内容には、「忍辱持久」(つらいことに耐える)、「四苦八苦」(生老病死はいずれも苦しみ)、「少欲知足」(ちょっと我慢する)などがあります。
確かに、生きていくことは苦しいことです。しかし、死ぬことも苦しい。どちらか片方がいやだから、もう片方に行けばよいというわけにはいかないのです。
親鸞さまの先輩=熊谷直実さまは、かつて苦悩のあまり自殺しようとしましたが、その前に、法然先生のお話を聞いて思いとどまり、法然門下に入ったあとは、一転、僧侶として充実した日々を過ごしました。
今社会を震撼させている座間の事件を思うと、一番悪いのはもちろん加害者ですが、被害者や国民全般も含めて、社会から佛教の教えが薄らいでいる感じがいたします。
生きていくと、嫌なこと、悲しいこと、つらいことがいろいろと身の上に降りかかってきます。それらに振り回されない静かで強い心が、お釋迦さまの説いた「忍辱持久」です。
切れず、くさらず、優しい心を持ち、穏やかに明るく話す子・人には、他の子・人たちが寄りそってきます。それは、幸せの第一歩でしょう。
お釋迦さまの生き方やお言葉を、活かすか否かは我々一人一人にかかっています。
成道会、みんなで楽しく、お祝いいたしましょう。
(『園だより』H29=2017年12月号より)